【改訂版】DxO PureRAWでノイズ除去・収差補正を適用する前に注意したいこと

概要

今年の4月、「DxO PureRAW」というソフトウェアが発売されました。

 Photoshop/Lightroomの編集に最適なRAWデータを生成する「DxO PureRAW」。30日間無料体験も - デジカメ Watch

内容としては、以下の処理をRAWデータに対して施し、補正後のデータをDNG形式で書き出してくれる……といったもの。これにより、画質向上が見込めると謳っています。

  • ノイズ除去
  • 歪曲収差補正
  • 色収差補正
  • 周辺減光補正
  • シャープネス補正

その実、DxO Photolabという上位互換ソフトもあったりするのですが、あちらはより多機能で、RAW現像作業の全般を行えるだけあり、値段も少し高めになっています。

そのため、Adobe Lightroom Classicなど、他のソフトウェアで絵の調整などを行う人にとっては、「よりコスパ良く画質改善が見込める」福音とも言えるでしょう。以下の紹介記事も、ソフトウェアの知名度を押し上げているかもしれません。

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ただ、このソフトウェアは少々クセが強いので、気をつけるべきポイントを整理しました。詳しくは後の段落をどうぞ。

  • 対応しているカメラ・レンズの組み合わせが (Adobeより) 少ない
  • DeepPRIMEノイズ除去も完璧ではない
  • 歪曲収差補正の結果は、撮って出しやAdobeのそれと異なる
  • 魚眼レンズなどで「歪曲収差補正だけをOFFにする」ことができない
  • レンズシャープネスの重ね掛けに注意

注意するべきポイント5つ

1. 対応しているカメラ・レンズの組み合わせが (Adobeより) 少ない

皆さんご存知Adobe製品(LightroomやPhotoshop)では、Adobeが整備した、レンズ補正情報のデータベースの情報が使われています。PhotoshopではCamera RAW機能でおなじみですね。

 サポート対象レンズ - Adobe

DxO PureRAWを販売しているDxO Labも同様に、独自のレンズ補正情報データベースを所有しています。

 DxO PhotoLab サポートされているカメラ/レンズ

ここで重要なのは、Adobeだと補正できるのにDxOだと補正できないレンズが稀によくあるということです。収差補正できなくともデノイズは効きますが、その場合は、Lightroomなどの「DNGファイルを読み込んだRAW現像ソフト」側で収差補正が必要になります。

……ここで大きく割りを食うのが、マイクロフォーサーズやライカLマウントなど、「内蔵のレンズプロファイル」とLightroomで表示される陣営で撮られた写真。

内蔵プロファイル

こういったRAWデータをPureRAWに通すと、内蔵プロファイルの情報が消えてしまいます。また、マイクロフォーサーズやライカLマウントは、Adobe側のレンズデータベースにも補正情報が載っていません。更に、LrCでDNG書き出しすると、内蔵プロファイル情報が消えてしまいます。

そのため、DxO側のレンズデータベースやAdobe側のレンズデータベースに、そのカメラ・レンズの組み合わせが載っているか否かによって、ベストな補正方法が変わってきます。

  1. 内蔵プロファイルを持ち、Adobe側のレンズデータベースに載ってないレンズの場合、PureRAWに掛けてはいけない
  2. 内蔵プロファイルがない、もしくはDxO側かAdobe側のレンズデータベースに載っているレンズの場合、先にPureRAWしてからRAW現像する

DxO側のレンズデータベースにマイクロフォーサーズのレンズは多く、SIGMAレンズの場合、Adobe側のデータベースにEFマウント・Fマウント・Eマウントの補正情報が載っているのは幸いなところ。

2. DeepPRIMEノイズ除去も完璧ではない

概要で示した通り、PureRAWの強みの一つがノイズ除去機能です。特に、DeepPRIMEノイズ除去は、ディープラーニングを活かし、ベイヤー配列から直接、ノイズ除去済みのRGB画像を生成することができます。その性能は驚異的と言えます。

 DeepPRIME 人工知能が RAW 画像のノイズ除去と変換を革新 - DxO

しかし、あくまでノイズ除去である以上、元のノイズが少ないことに越したことはありません。「ノイズが多いほど除去後にノッペラになりがち」という原則は、DeepPRIMEでも回避しきれないのです。

また、星を撮るのが趣味な方の場合、僅かなディティールの損失も見過ごせませんので、1枚だけ撮影した画像をノイズ除去して良しとするより、複数枚撮影してスタックした方が、より高品質な写真を生成できます。

3. 歪曲収差補正の結果は、撮って出しやAdobeのそれと異なる

前述した通り、Adobeの補正データベースと、DxOの補正データベースは異なります。

つまり、PureRAWに通したら画角が撮って出し(やCamera RAW)と違う、といったことは全然よくあることです。

「より正確な補正ができる」とも言えますが、撮って出しより広い範囲が見えてしまう結果、周辺部の荒い画質がより目立つ……ということもあるかもしれません。

ちなみに、DxO PureRAWではなくDxO Photolabだと、歪曲収差補正など、レンズ補正技術の効き目を調整できます。

4. 魚眼レンズなどで「歪曲収差補正だけをOFFにする」ことができない

DxO PureRAWの場合、各種収差補正については現状、「掛ける」「掛けない」の2通りしかありません。

これにより、「歪んでいる」ことが持ち味である魚眼レンズが割りを食うことになります。DxO Photolabだと歪曲収差補正だけOFFにできますが、DxO PureRAWだとそれはできないようです。

5. レンズシャープネスの重ね掛けに注意

前述した通り、DxO PureRAWに通されたDNGファイルは、レンズシャープネス技術が適用されています。要するに、画面全体にシャープネス処理が既に掛かっています。

しかし、Lightroom Classicに通すと、DNG相手でも機械的に、シャープネス処理を初期状態で適用してしまうことがあります。

Lightroomのシャープネス処理

そのため、こちらのシャープネスをOFFにしないと、絵がシャープすぎてギラギラするかもしれません。

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