短いながらも内容が濃い天使譚。『枯れない世界と終わる花』をクリアして感じた詳細な感想。

概要

『枯れない世界と終わる花』、名前はちょくちょく聞いていたタイトルでした。レンというヒロインが重要なキーパーソンであること、そしてレンについてのスクショが豊富である (ネタにされやすい) ということも。その秘密を探るため、我々はSWEET&TEAの奥地に潜入した……。

ゲーム開始は2022/7/11、ゲーム完走は2022/7/23でした。

レンちゃんカワイイヤッター!

この作品について特筆するべきは、最初に出会うヒロインである「レン」の存在でしょう。

一面の「花畑」を歩く主人公と出会い、一緒に行動する彼女ですが、その表情は実に豊か。

その率直な感情表現を見ていると、レンが「単なる子供」ではなく「道中拾った謎の人物」である、ということを忘れてしまいそうになります。ボケからツッコミまで一通りこなす彼女は、コミカルなパートを盛り上げてくれる素敵な存在です。

基本的には劇重ストーリー

しかしそれは、最初からずっとシリアスな物語を和らげる、緩衝材のようなものにすぎません。主人公 (ショウ) は、ハル・コトセ・ユキナが背負っている、天使としての運命から解放するため、彼女達が住む街を訪れたのです。その代償として主人公が受け入れたのは、「天使」の力を我が身に肩代わりすること。ですが、それには想像を絶するような痛みと、主人公が持つ記憶の喪失を伴います。あまりに壮絶な代償から、主人公の事情を知っているレンですら、その身を案じ、肩代わりさせるのを止めようとするほどでした。

だが、主人公は突き進みました。自身の身体が文字通り保たないだろうと悟ったとしても。

こんなの、ごちうさの皮被ったまどマギじゃん……

途中分岐がある一本道、という面白さ

今までプレイしてきたAVGのルート分岐は、次のようなものでした。

  • 選択肢に応じてヒロインの好感度を稼ぐと、共通ルート以降に個別ルートへ分岐する
    • ポイントをどれだけ稼げばいいかは作品による
    • Trueルートから更に分岐することもある
    • 例:オーガスト、ゆずソフト
  • 選択肢を間違えると個別ルートに脱線してシナリオエンド、正解し続けるとTrueルート
    • 途中下車、と呼ばれることもある
    • 例:『穢翼のユースティア』や『ニュートンと林檎の樹』
  • 選択肢という概念が無い、もしくは希薄
    • メニューからルートを選択できることも
    • 例:Lose作品

しかしこの作品では、途中分岐をどう選んだとしても、「主人公達が天使の力から解放される」という本筋からは逸れません。途中の選択肢にて、特定のヒロインに肩入れすると、本編もしくはAfterシナリオで、そのヒロインと親密になる話が展開されます。この方式では、ポイント方式のように「何ポイント稼げばルートが分岐するか」を考える必要がありませんし、途中下車方式のように「個別ルートでは本筋の問題が解決していない」消化不良感を味わうこともありません。ミドルプライスらしい、といえばらしい仕様ですが、話がコンパクトにまとまってよいと感じました。

(注:下記ツイートにおける「各駅停車方式」は「途中下車方式」と読み替えてください)

シリアス要素を除いたシナリオ評価

上記のように暗く重いシナリオですが、そのせいか却って展開が読みやすい、と感じました。

  • ヒロインの縁者が、天使の力に喚ばれて犠牲になる展開が連続しているので、ヒロインじゃないネームドキャラに対して「この人死ぬな」と察せてしまう
  • 天使の力の2人目 (ユキナ) を吸収してなお3人目 (ハル) に向かおうとする時点で、「これ吸収しても結局死なないで助かるのでは」と察せてしまう

ただ、それを含めて描写が丁寧でしたし、登場人物達がそれぞれ思惑を持って動いていることが伝わってきましたので、シナリオに対する没入感は高く、読む途中で白けてしまうような感情はありませんでした。特に、ハルを演じる沢澤砂羽さんの演技力が抜群で、強く心を動かされました。安心と信頼の沢澤砂羽さん。

なお、前述した通り、レンはボケもギャグもこなせるカワイイ担当ですが、その代償からか、Hシーンが他ヒロインと違い1回しかないという憂き目に遭いました。彼女の個別ルートにしても、ギャグ色が強いものですし。この世界はロリコンに厳しい

ぱれっとと同じ会社であることがなんとなく分かる演出面

作品冒頭の警告画面にしてもそうですし、

わざわざ背中の立ち絵を描写するところもそうですし、

音符などのエフェクトの出し方にしてもそうですが、

以前プレイした『9-nine-』を思い出すような描写が随所で見られます。これはある意味当然で、『9-nine-』の「ぱれっと」ブランドと『枯れない世界と終わる花』の「SWEET&TEA」ブランドは、同じ会社(株式会社クリアレーヴ)の別ブランドだからです。

その他なんやかんや

この蓮、思い返せば全ての元凶でしたね……。

2枚目はギャグシーンなんですよ。普通、ボロボロ泣く描写……マジ泣きってシリアスな場合に使うものじゃないですか。さすがにビビりましたね。

普通なら可愛い過去エピなところ、ユキナ(幼女)の行動が思ったよりゲスいんですよね……生きるためとは言え。

さすがパッケージヒロイン (※パッケージ前面に1人だけ描かれている) 、可愛さに隙が無い。

「中でせーえき、出しほうだいだよ?」というパワーワードよ。

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