Loseの処女作にして至高。『ゴスデリ -GOTHIC DELUSION-』をクリアして感じた詳細な感想。

概要

『まいてつ Last Run!!』や『ものべの -happy end-』をクリアしたので、この作品をクリアすればLose作品を全部制覇したことになります。

絵の圧が強いので、恐る恐る進めてみましたが、内容があまりに面白くてのめり込んでしまいました。





以下、感想を書き連ねていきます。なお、この作品で進行豹先生は幾つかHシーンを担当しているだけで、ガッツリ本編を書いていったのは『ものべの』以降となります。

バトル路線から「降りた」Lose

『ゴスデリ』が『ものべの』『まいてつ』と違うところは、「シナリオライターが違う」……のももちろんですが、「バトル路線だったのがゴスデリしかない」ところにあります。「ボイス付きの大人の主人公×ロリっ子メインヒロイン」の図式は共通なものの、あまりに毛並みが違う作品であることは見て明らかだと思います。

実際、Loseもそこは意識していたようで、バトル路線で書いていたシナリオを放棄し、そうじゃない路線に進んだ……といったことは公式サイトで説明されていました。その結果ボツになった原稿について、現在では「小説家になろう」「カクヨム」に掲載されています。

シナリオ・キャラの感想

作品を通じて感じたのは、キャラクターが周囲から学び、考え、反省し、終いには大きな決断を下せるほどの成長を遂げるまでの「過程」です。「成長物語」と言ってしまえば簡単ですが、それを読者に叩き込むための筆致が凄まじい。安易な展開に逃げず、キャラクターの葛藤が丁寧に描かれているので、読んでるこちらもシナリオに引き込まれてしまいます。

この「成長」というテーマは、主人公だけでなく、ヒロインやサブキャラなどにも当てはまります。頼りなかった教師が、幼かった少女が、一見しっかりしているヒロインが、体験と挫折を経て、より魅力的な人物に仕上がっていく様が、比較的短めな本編 (全部で10時間ぐらい?) の中に盛り込まれています。その結果、主人公が選んだ「選択」に説得力が出てくるのです。

また、本作品に出てくる敵キャラは、その「選択」を止めさせるために行動してくるのですが、見た目のガラと口調が悪い割に言ってることはマトモなんですよね。そのため、明確な敵というよりか、主人公―ヒロインとは別の軸にいる第三者として、この群像劇に厚みをもたらしている印象でした。これに限らず、主人公に味方したり敵対したりするキャラ達の設定の作り込みが、どれも濃いので、ウケればもっと続編も出せるように設定を練っていたのだろうと感じさせます。

演出・BGMなどの感想

原画はいつものcuraさんですが、演出は『ものべの』以降と違い、「立ち絵+背景+テキスト欄」ではなく、「スチル絵+文字を重ねる」ことで表現しています。古き良きビジュアルノベルって感じですが、そのスチル絵が派手に動くので見栄えがするんですよね。詳しくは動画をご覧ください。



また、BGM制作は『ものべの』以降と同じなので、「あーここ『まいてつ』っぽいなー」みたいに感じることも。



個別のキャラの感想

前述したように、キャラ達の描写が細かいためか、どのキャラも魅力的なんですよね。ただ、強いて言うなら、ヒロインの吹摘遥 (CV:かわしまりの) が特に強烈でした。主人公やセンターヒロイン (ロー、吸血鬼の少女) の身近にいる存在なだけに、彼らの動向に一喜一憂。彼女の心情と彼らの思惑とがせめぎ合うこともありました。終盤、「選択」した主人公を必死に止めようとして、しかし止めることができなかった彼女が悲嘆に暮れ、そしてまた立ち上がるまで……今までやったゲームの中でも五指に入るほどの素晴らしい心理描写でした。



おまけ

『ゴスデリ』完走に伴う、自分用の、Lose(ブランド名)のゲームについてのメモ (閲覧注意)

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