2023年08月のカメラ趣味まとめ

バックナンバー

書くことがあまりなかった

今年はもう2/3を消化するところですが、「カメラ趣味まとめ」記事はこれまで4本しか出ていません。それだけカメラ沼が落ち着いたと言えますが、やはりマンネリ感は否めないところです。しかし、今月にはデカい出来事が何回か起きたので、記事にまとめておくことにしました。

カメラを紛失する事故

今月最大の騒動は、8月13日に起きた紛失事故でしょう。電車内に置き忘れてしまったため、JR東日本にWeb上で問い合わせした後、数日間は眠れぬ思いをしました。幸い、発見こそされたものの、届けられた警察署まで出向く必要があり、暑い夏のさなか数時間ほど電車で向かうといった苦労をすることに。

EOS R8は「使える」か?

また、この事故をきっかけに、「予備機としてEOS R8が使えるか」を真剣に検討するようになりました。上記の紛失事故で忘れたものは次の4つですが、

  • EOS R5
  • EOS R7
  • RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM
  • RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM

それ以外のパーツ (RF24-70mm F2.8 L IS USMやRF100-400mm F5.6-8 IS USMなど) は手元に残っていたので、そちらの母艦としてEOS R8は活用できるのではないか……といったことです。EOS R8のメリット・デメリットを調査したところ、次のような具合に落ち着きました。

  • バッテリー・SDカード込みで461gなので、持ち歩く際の負担を軽減できる
    • EOS R7以下、EOS R10に迫るほどの軽さなのは魅力的
    • ボディ内手ブレ補正を搭載していないが、大抵のRFレンズには手ぶれ補正が乗っている
  • 高周波フリッカーレス撮影機能により、LED光の元でもフリッカーを軽減できる
    • 詳細は後述
  • メカシャッターの連写速度は遅いが、電子シャッターは毎秒40連写できる
    • EOS R6 Mark IIと同じセンサーなので、ローリングシャッター歪みは小さめ?
  • Fvモードが搭載されていない
    • ただ、高周波フリッカーレス撮影時は、MモードかTvモードしか使えない
  • バッテリーはEOS R5/R7で使っているもの (LP-E6系) を使い回せない
    • EOS R6 Mark IIはLP-E6系だがEOS R8は違う

これらの点と、普段はブツ撮り・風景撮影・展示撮影で使うことを比較してみると、「EOS R8の導入はあり」「導入しなくてもまあ戦える」といった印象です。AFはEOS R5/R7以上なものの、そこまで高性能でなくとも支障は無いので。上記のように、カメラは無事に発見されましたが、見つからなかったとしたら、割と躊躇なくEOS R8を購入していたことでしょう。

高周波フリッカーレス撮影機能の正体

ところで、世界で最初にフリッカーレス機能を搭載したカメラを販売したのはCanon EOS 7D Mark IIだそうですが、「フリッカーレス機能」周りの資料についてよくまとまっているのはSONY。次のページを読みながら、フリッカーについて勉強してみましょう。

フリッカーとは | ILCE-9M2 高周波フリッカーレス機能 | デジタル一眼カメラ α(アルファ) | サポート・お問い合わせ | ソニー

まず、通常のフリッカーレス撮影 (方式Aと呼ぶ) の場合、光源が明るいタイミングを見計らってスリットを動かします。そのため、後幕が遅い電子シャッターの場合、方式Aで駆動させても、後幕が処理し終わるまでに光源が暗くなってしまい、タイミングを見計らったメリットが無くなってしまいます。

次に、高周波フリッカーレス撮影 (方式Bと呼ぶ) の場合、明滅のタイミングとスリットの駆動速度を精密に合わせます。これにより、「光源が明るいタイミングを見計らってスリットを動か」せなくとも、「光源が明るい期間がどの横列でも同じ時間だけある」ようにして、フリッカーの発生を回避しています。方式Aと比べると妥協案っぽいですが、LED光源の明滅間隔は100/120Hzを遥かに上回るので、方式Bでないと対処できないわけですね。

ここで、電子シャッターの場合を考えますと、方式Aが使えないのはもちろん、方式Bにおいても「光源の明滅間隔」がシャッタースピードの上限となります (経験則) 。つまり、光源が1000Hz駆動しているLEDの場合はシャッタースピード1/1000[s]までイケますが、光源が100Hz駆動している蛍光灯の場合はシャッタースピード1/100[s]までしか使えません。これにより、結果は次のようにまとめられます。

  • フリッカー源となるような光源がない
    • ⇒メカシャッターでも電子シャッターでもいい
  • フリッカー源が100/120Hz
    • ⇒メカシャッターだと方式Aでシャッタースピードを自由に設定できる
    • ⇒電子シャッターだと方式Bでシャッタースピードを100/120Hzまで設定できる
  • フリッカー源が1000Hz
    • ⇒メカシャッターだと方式Bでシャッタースピードを1000Hzまで設定できる
    • ⇒電子シャッターだと方式Bでシャッタースピードを1000Hzまで設定できる

つまり、高周波フリッカーレス撮影 (方式B) は、「電子シャッターでもフリッカーを避けられる夢の技術」ではなく、「メカシャッターでLED由来のフリッカーを対策する技術 (電子シャッターでも利用できる)」となります。蛍光灯由来のフリッカーがある中で高速連写したい場合、従来通りメカシャッターの方が適しているわけですね。

RF15-30mmとRF-S18-150mmの黄金パターン

上記の事件を除くと、今月の撮影は順調そのものでした。7/23にお迎えしたEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STMを使うこともあったものの、基本的にはRF15-30mmとRF-S18-150mmの2本で乗り切れた形です。なんなら、ブツ撮りする際にも、TS-E 90mm F2.8L MACROを取り出すのがめんどくさいときは、RF-S18-150mmでざっと撮ってしまうこともありました。

ここまでの状況になった主な理由として、「広角域と標準~望遠域の切り替えが面倒」といったことが挙げられます。現状ですら、広角~標準域を跨がるレンズは貴重なため、どうしても超広角 (ここでは35mm判換算で20mm以下の領域を指す) が必要でない限り、標準ズームレンズの広角端 (換算24mmか28mm) でまかなってしまいがちです。そのため、標準~望遠域を一本でこなせて、画質も悪くない高倍率ズームレンズが有用になるのです。マイクロフォーサーズ使いだったときも、「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」という、「換算24-200mmでそこそこの画質な高倍率ズームレンズ」を多用していました。ただ、

  • M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
    • 換算焦点距離:24~200mm 換算F値:F8
    • 最大径x長さ:77.5x116.5mm
    • 重量:561g
  • RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
    • 換算焦点距離:28.8-240mm 換算F値:F5.6-F10
    • 最大径x長さ:69x84.5mm
    • 重量:310g

なため、高級感や防塵防滴性能や手ぶれ補正性能や広角端の画角を横に置くと、RF18-150mmもなかなか優秀なんですね。


ごり押し、という意味なら、EOS R5+RF15-30mm F4.5-6.3 IS STMの組み合わせも大概なものがあります。ライカLマウントを使っていたときもLUMIX S1R+14-24mm F2.8 DG DN | Artというコンビでよく使っていましたが、それと比べて「軽い (1811g vs 1128g)」「小さい」「望遠端が長め (換算36mm vs 換算48mm)」といった長所があります。周辺画質が若干にゃ気になるところは、Neural network Image Processing Toolによる電子補正で解決させられました。ただ、それでも「トリミング後も標準域までしか使えない」ため、広角端を24mmで妥協すれば、RF24-70mm F2.8 L IS USMの方が使い勝手は良かったりします。

「1段絞る」癖について

カメラレンズのセオリーの一つに、「解像度を優先させるなら1段絞る」といったものがあります。光学技術が発達していなかった昔の話、かといえばそうでもなく、今でも十分に使えるセオリーです。実際、真夏の日差しに照らされた被写体は収差を呼びやすく、RF18-150/F3.5-6.3で撮る際はF8、RF100-400/5.6-8で撮る際はF11まで絞るのが「堅い」と感じました。小絞りボケを許容してでも、描写の緩みを許容しない格好ですね。今でも25万円ぐらいするRF24-70/2.8ですら、近接撮影ではF4~5.6まで絞っておく方が描写は安定します。なまじ、Neural network Image Processing Toolで高感度ノイズは抑えられるだけに、絞ることや暗いレンズに対する抵抗感が薄れてきました……。

それでも「高感度性能」は唯一無二

ただ、EOS R7を多用していて感じたことの一つに、「高感度域における解像度の低下」があります。そんなの物理的に当然じゃん、と言われそうですが、ISO800~1600あたりを境に、微細な描写が (Neural network Image Processing Toolを噛ませても) 無くなってしまうように感じるのです。

実際、DPreviewで比較してみても、EOS R8・ISO6400とEOS R7・ISO3200がほぼ同等の解像感]を見せており、画素数のハンデ (EOS R8は2400万画素、EOS R7は3250万画素) ほどR7が優れているわけではないことが分かります。

もちろん、画角x1.6倍のメリットは大きいので、望遠レンズを噛ませた際の強さは譲れません。しかし、それは画角x1.4倍のテレコンより絶対的に優位なのでしょうか? その辺り、「センサーサイズによる描写の余裕の差」を感じる出来事でした。

この記事へのコメント