カメラレンズにおける最大撮影倍率の推定方法について

概要

前回の記事では、各種レンズにおける最大撮影倍率を推定込みで表示しました。

ただ、どうやってその値出したんだよと言われそうなので、計算方法についてざっくりまとめておきます。

前提となる図面・式

説明のため、東芝テリー株式会社から出ている「知っておきたい撮影レンズの基礎~レンズ選定編~」の3ページ目から図面を引用します。

レンズの計算図

この図において、ニュートンの結像公式は「x * x' = -f^2」として表されます。
ただしそれはxの符号を負として書くからであり、xの符号を反転させると「x * x' = f^2」となります。

図において、いわゆる「ワーキングディスタンス(被写体と前玉との間の距離)」は「x + f」、「最短撮影距離」は「x + f + 物体側主平面~像側主平面の距離 + f + x'」です。ただ、「ワーキングディスタンス=最短撮影距離-(前玉面~マウント面)-フランジバック長(マウント面~像面)」で、「レンズ全長≒(前玉面~マウント面)」と近似されることもあります。

さて、三角形の相似の関係より、最大撮影倍率は「B / A = b / a = f / x = x' / f」です。なぜ「b / a = f / x」になるのかですが、「b / a = (f + x') / (f + x) = (f^2 + f * x') / (f^2 + f * x) = (f^2 + f * x') / (x * x' + f * x) = (f * (x' + f)) / (x * (x' + f)) = f / x」といった理由によります。

焦点距離とワーキングディスタンスから最大撮影倍率を導く

ワーキングディスタンスをdと置きます。すると、「d = x + f」です。ゆえに最大撮影倍率は「f / (d - f)」となります。

ちなみに、フルサイズより小さいセンサーのカメラだと「35mm換算最大撮影倍率」と書かれることがあります。これは同一撮影倍率でもセンサーサイズによって「センサーとのサイズ比」が変わるからですが、実際の写真写りを考えると、「35mm換算最大撮影倍率」の方が「写真から感じられる最大撮影倍率」に近いものとなります。ゆえに、上記の計算式で計算した最大撮影倍率は、「35mm換算最大撮影倍率」と比較しましょう。

諸注意

例えば「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」の場合、

  • 実焦点距離……12~100mm
  • 換算焦点距離……24~200mm
  • ワーキングディスタンス……15~270mm
  • 最短撮影距離……150~450mm
  • 撮影倍率……0.30~0.21倍
  • 換算撮影倍率……0.60~0.42倍
  • 全長……116.5mm
  • フランジバック……19.25mm(※Wikipediaソース)

と、各種寸法が出ています。しかし、例えば広角端の場合、換算撮影倍率が「12 / (15 - 12) = 4倍」となってしまいます。これは、上記の図面(レンズの計算図)に対称性があり、ワーキングディスタンスが「x + f」ではなく「x' + f」を指すこともあるからです。ゆえに、このレンズの場合、広角端の換算撮影倍率は「(f + x) / (f + x') = 15 / (12 + x') = 15 / (12 + 48) = 0.25倍」と推定されなければなりません。まあこちらでも誤差がありますが、恐らく焦点距離の変化に伴いレンズ群が動くことが大きく影響しているのでしょう(適当)

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