【ネタバレ配慮済】『ATRI-My Dear Moments-』を完走した感想についてまとめてみた

概要

フロントウィングが開発し、ANIPLEX.EXEが提供するノベルゲーム、『ATRI-My Dear Moments-』。存在自体はほんのり認知していましたが、プレイするほどでもないかと思っていました。

しかし、フォロワーから「これ面白いからやってみて!」と熱烈な勧誘(Steamギフト)を受け、Steam版をインストールし、プレイしてみることにしたのです。ちなみに、2021/12/16には、Nintendo Switch版Android版iOS版もリリースされました。

ありがちな設定?

物語の概要は次の通り。

「近未来、何らかの理由により海面上昇が発生し、地表の多くが海に沈みました。ある事情で田舎に引っ越した主人公、斑鳩夏生(いかるがなつき)」は、祖母が遺した遺産を掘り起こすため、潜水艇に乗り込むことに。彼が海底で目にしたのは、カプセルで眠るように横たわる、ロボット(ヒューマノイド)の美少女だった。少年とロボットの少女が巻き起こす、ひと夏の奇跡の物語――!」

これを読んでどう思われたでしょうか。「なるほど、面白そうだ」と思われましたら幸いです。ただ私の場合……ありがちなボーイ・ミーツ・ガールじゃんと、少し醒めた目で見ていました。なぜなら、物語の構成要素を切り出すと、”どこかで見たような設定”の集合体だったからです。

「海面上昇が起きた近未来」「田舎に引っ越す主人公」「親族の遺産」「アンドロイドとの出会いと別れ」……要素要素を切り出すと、過去に嗜んだ作品にいくらでも出てきそうな文面ではありませんか。「物語を箇条書きで切り出せば、全く違う物語も同じように見える」という「箇条書きロジック」を擁護する気はありませんが、過去に嗜んだ小説や映画などの経験が脳裏にフラッシュバックし、「どのように差別化されるのか?」といった視線でゲームを始めたのです。

我が目を疑う、その展開。

物語は、ある程度予想した通りに進みました。45日で機能が停止する、その間に「アトリに下された最後の命令」を探そう、並行して学校に行くなどして周りと交流しよう、と。アトリは本当に感情豊かで、まるでロボットとは思えないほど活き活きしていて。次第に惹かれていった主人公(夏生さん)は彼女に告白します。そして、晴れて恋人同士になりました。

アトリ
(© Aniplex Inc. All rights reserved.)

この時点で私は思いました。「なるほど、以降はアトリとイチャイチャしながら残り日数を過ごすんだな」と。恐らく、夏生さんもそう思っていたことでしょう。フィクションの世界において、人間とロボットとの、恋愛を含む交流は珍しくありません。自分が観てきた作品でも、『まほろまてぃっく』『攻殻機動隊』『まいてつ』など、その度に大きなドラマが生まれてきました。また、「ロボットの寿命が人間より短い」もよくある話で、『まいてつ Last Run!!』ではそれも重要なテーマとして取り上げられています。

だが。

この世界は。

思ったよりも残酷で――!

彼女を含めたヒューマノイドが書き残す『ログ』。日記とも呼ぶべきそれを読んだ主人公は、彼女の隠された真実に気づいてしまいました。それはプレイヤーである私も同じことなのですが、あまりの内容に言葉を失ってしまい、しばらくゲームが手に付かなかったことはよく覚えています。そして、そこから物語は急展開を見せます。

なぜ彼女はカプセルで横たわっていたか。

なぜ彼女は純真無垢な性格なのか。

なぜ彼女は――――。

使い古されたネタであっても、それが組み合わさると”新奇”になる……そのことを実感させてくれました。このゲームに登場する選択肢は3つ、最後の選択肢で2種類のエンディングに分岐するのですが、途中の選択肢を間違えなければ、BAD ENDではなくTRUE ENDを選び取ることができるでしょう。誰も不幸にならないだけでなく、どちらの”ヒロイン”も幸せになれる、こんな選択肢もあるんだな……と、温かい気持ちになりました。いや、これもある種の必然だったのでしょう。なぜなら、

アトリは高性能ですから!

アトリ2
(© Aniplex Inc. All rights reserved.)

おまけ

現在(2021/12/07)も全国の映画館で上映中の映画『アイの歌声を聴かせて』。私も2回観た名作であり、優秀なレビュー記事も多く出てきています。

『アイの歌声を聴かせて』が大傑作である5つの理由|過去最高の土屋太鳳が爆誕! | cinemas PLUS

『アイの歌声を聴かせて』が掲示したポジティブな未来図 吉浦康裕が描くAIとの共存|Real Sound|リアルサウンド 映画部

AIエンジニアの観点から見る、映画「アイの歌声を聴かせて」

その後でこのゲームをクリアすると、「シオンとアトリって似てるな……」ということに気づきました。明るく元気で前向きな女の子、という性格も。その裏側に隠された、ロボットとして冷徹な意志も。「両者は矛盾した概念ではなく、両方合わせてこそだ」ということが伝わる 映画/ゲーム でした。

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